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印刷に教えられた人生観

 私は一生の仕事として、印刷を与えられたことを心から感謝し、誇りに思っております。
 その時代時代の歴史と文化や情報を文字と写真あるいは絵などで後世に残し伝える素晴らしい仕事ということもさることながら、印刷が私に何を教えてくれたかを少し話してみたいと思います。

 美しいカラー印刷が出来上がるには二つの大きなポイントがあります。
 一つはここにアルミの版があります。これにフイルムを密着させて焼きつけて現像処理をしますと絵柄が出て来ます。このアルミ版に薄く水を引きますと、絵柄の所は水をはじき絵柄の無いところには水がのります。こんどはインキのローラを、この上を走らせますと水をはじいたところの絵柄にはインキがのり、水ののったところはインキをはじきます。つまり水と油という全く違った性質のものの反発を利用して、いかに適量に調節するかということです。水が少なければ版が汚れます。多ければインキがのりません。インキが少なくても多くても色の変わった写真が出来上がり、ボヤケて見えます。この調整がいかに美しいカラー写真が出来上がるかの第一のポイントです。
 二番目のポイントは、赤、青、黒、黄の四色のトンボをピッタリ合わせると四色が八色にも十色にも見えるキレイなカラー写真が出来上がります。
 こんな作業を毎日続けておりますうちに、ふと世の中のしくみ、人間社会、自分の周囲に起こる出来事に非常によく似ていることに気付きました。
 私達夫婦にしてもそうですが、私は寒がり屋で、家内は暑がり屋です。風呂も家内のぬる好きにくらべると私はあつ好きです。夏になりますとふとんも着ずにクーラーを掛けている家内にはとてもつきあいきれず、ふとんを掛けてねる。
 近所の御主人は人柄はとても良いのに短気です。奥さんは気の永いのんびり屋さんで、御主人は四十五キロ、奥さん六十五キロ。また、せっかく恋愛結婚で一緒になって、性格が合わない事がわかったからと離婚する人があります。
 私は性格が合わなくてあたり前だと思います。この世の中は所詮男と女。違ってあたり前でしょう。第一男性のシンボルは凸ています。女性の道具は凹んでいます。全く違っているものが、ピッタリ合うんですからね。オチョコと徳利の形は全く違っていますが、あれで一つです。よく言われることで、「鐘が鳴るのかし橦ゅも木が鳴るか、鐘と橦木の相でなる」といいます。これも二つで一つですね。
 印刷が水とインキの出し加減で美しい写真の出来上がることを考えると、お互いに助け合い、いたわり合うという思いやりであり、なぐさめ合うことです。
 第二のポイントのピントを合わせるということは、力を合わせる、心を合わせる、協力し合うということに考え合わせると、印刷は素晴らしい仕事だと思います。

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